悪戯

子供は何も無ければ無いで何か面白いや悪戯を考える。

「つっかい棒」 よそ見をしている子の頬に指を寄せておき、呼びかける。頬が指に押されるのを見て笑う。

「膝かっくん」 ぼんやり立っている子の後ろに回り、膝の後ろを押す。膝がカクンと折れビックリさせる。

「カンチョウ」 両手の人差し指と中指を立て、他の指を組む。ボヤッとしている子の肛門に向けてカンチョウと言って突く。

「のーたりん」 右手をひろげ親指を鼻の頭に、左手もひろげ親指を右手の小指につけ、手ひらひら動かし、挑発する。

「お尻ぺんぺん」 自己の尻を突き出して手で叩くマネをする。遠くからする「ざまみろ」の表現。

「あっかんべー」 おなじみ、目の下を指先で押し下げ、内瞼を見せる。軽い嫌悪感の表示。

「イーだ」  顔をしかめながら舌を出す。嫌味の表現。

「豚の鼻」 自己の鼻を指先で押し上げ、豚の鼻のようにして醜さを相手に投げかける。

「猫の目」 豚の鼻と同様。両手の人差し指で両目じりを引っ張り、猫の目のようにして相手に向ける。

「あんま」 後ろから相手の股に腿を挟みこんで細かく揺する。

「顔パッチン」 相手の掌に匂いの素を付けたフリをして、嗅がせる。すかさず鼻の前の手を押す。

 

馬飛び

多数で遊ぶ男の子の集団遊びで、冬の運動場でよく遊んだ。

人数が多いときには、二組に分かれる。じゃんけんで負け組となった方は馬になり、勝ち組がその馬に乗る。

馬は一人が立ち頭となり、他の子は頭の腰に肩を当て腕を回して掴む。その後ろも同様にして連なり、長い馬の胴体をかたどる。乗り手は、動き回る馬に振り落とされたり、蹴られないように飛び乗る。少しずつ前進し、全員が飛び乗る。

全員が馬に乗ったとき、乗り手の先頭の子と馬の頭となった子とじゃんけんをする。馬がじゃんけんで負けるか馬が途中でつぶれた時は、何度も馬にならなければならない。

 

ケン玉とヨーヨー

同居していた叔父がケン玉とヨーヨーを持っていて、時々技を披露してくれた。教えてくれるのだが中々上手くいかない。ケン玉は「モシモシ亀よ」で大皿と中皿の往復が1曲出来た程度。ヨーヨーは紐がゴムの様に伸び縮みして円盤を回転させ、上下から横フリが出来るのがやっと。ガキ坊主どもも、どんぐりの背比べ、流行まで行かうちに熱が冷めてしまった。

 

ハーモニカ

国民学校の4年生の頃か、音楽の授業にハーモニカを吹ける子が皆の前で演奏した。格好良く見えて、憧れた。

親にねだって買ってもらった子も大分いて、仲間同士で教えあった。数字の音符通りでなくても少しずつ唱歌が吹けるようになり、友達同士で行く遠足や遊びの合間でもハーモニカは大事なお供になった。

 

ピストル

兵隊ごっこでは木の端が鉄砲になった。ピストルも格好いい武器なので、木片をピストル様に作り、筒の部分は筆の筒を取り付けて其れらしい形にして、「パン パン」と言いながら交戦した。

運動会で先生の使う競技用ピストルは、どの子も自分で試したがった。

ブリキ製の玩具ピストルは売っていた。黒く光ったピストルには引き金もあり、長く連なった火薬玉を装置できる物だ。仲間内でも、時々しか手に触れられない宝物だった。

父親が外地に派遣される直前、軍服・サーベルが用意されていた。ある日、家人の居ない時のこと、洋ダンスの下に革のホルダーに油紙で包まれたピストルがるのを見つけた。ドキドキして直ぐに戻したが、ずっしり重かった。

 

セッセッセ(手あわせ遊び)

3・4人ですることもあるが、二人組で遊ぶ手合わせがいろいろある。始めは「せっせっせ ぱらりと せ」につづき、「そーらに さえずる とりのこえ(天然の美)」「なつも ちかづく(茶摘歌)」「いちかけ にかけで さんかけて(?)」「すちゃらか すちゃらか」「あおやま どてから」などなど、夫々歌により振りがきまっている。互いの振りがぴったり合うと気持ちがいい。

今でも、茶摘歌を聞くと「夏も近づく 八十八夜 」に続いて「トントン」という声が聞こえてくるような気がする。

 

誰か欲しい人

ビー玉、塗り絵、ブロマイド、色紙など子供たちが遊びのとき持ち寄った際、友達に譲ってもいい物を手にして、「これ 誰か 欲しい人 居ないかい」と言う替わりに「これ だれかに サクランチョ」と呼びかける。欲し人は「アンピスケ」と応じる。

あからさまでない処が何とも好い。女の子がよく使ったと思う。

 

ままごと遊び

ままごと遊びは女の子の誰もが大好きな遊びだ。「食事を作りたい」という気持ちは如何して生まれるのか。親や周囲のものが教えたものか、身近で何時もしている母親の動作を真似ることなのか。

ままごと遊びの玩具はブリキや瀬戸もの出来たミニサイズの食器や炊事道具が一式揃った箱入りで売っている。クリスマスや誕生日などの特別な日に貰うことがある。

だが、ままごとの玩具は買わなくてもいい。ビンの蓋でも欠けた小皿でも葉っぱ、硬紙、貝殻でも何でもかまわない。食材も植物の種、木の実、花や葉、土砂でもいい。花の揉み汁は色水として甘い飲み物となる。要はイメージの問題なのだ。

女の子は母親のするようなことを友達と語りながら、買い物や食事つくりをして、遊び続ける。希に男の子も遊びに加え、お父さん役をさせるが、男の子はあまり面白いとは思わず、付き合いはほどほどで逃げ去る。

 

数を数える

鬼が決められた数を数えている短時間内に、他の子供は隠れたり、距離を稼ぐのだが、数字を同語数の言いやすい言葉に代えて唱える。「だるまさん が ころんだ」は10を唱えたことにするのでこれを10回唱えると100を数えたことになる。

今も同じことをしているのかも知れないがその頃は他に「にいたかやま のぼった」も使った。新高山は台湾にある山で当時は日本国内最高峰であった。

 

ゴッコ遊び

周りの人のマネをするも幼い子供にとっては遊びだ。当人たちは動作の真似だけでなく、やり取りする言葉づかいまでも真似てその人になりきるので、他から見ると思わず笑ってしまう。

女の子はママごと、髪結いさんゴッコ、男の子は兵隊さんゴッコ。男女共通するものとして、お店屋さんゴッコ、お医者さんゴッコなど様々だ。

戦争が激しくなった頃は、子供の遊びも戦争物が多くなった。道路の端には防空壕を各家が作ったが、壕も戦争ゴッコの遊び場となっていた。

幼い頃、私は電車ゴッコが好きだった。運転手もいいが、好きな役割は車掌さんだ。カバンを首から提げ、切符に鋏で穴あけ売る。時々手を上げ紐を引く格好をしてチンチンと鳴らし「次は、道庁前です。苗穂方面はお乗換えです」。

乗るお客が居ないと電車ゴッコにならないが、お客の役は人気が無いので大抵は幼い子になってもらう。

 

タンマ

「一時休止=タイム」のことをタンマと言っていた。手を上げ、親指と人差し指で○くして皆に示す。

 

伝言ゲーム

10人以内の子供が並び、初めに紙に書いた元の言葉を先頭の子供のみが見せられる、黙読した子供が次の子供に耳打ちする。聞いた子供が次の子供に伝言する。伝言は聞き違いや勘違いで、元の言葉とかけ離れて行く、最終の子供が受け継いだ言葉を披露し、原文とのかけ離れた滑稽さを楽しむゲームである。参加者が多いときには二つのグループで競い、正しい伝言か崩れた伝言か比べる。

 

ハンカチ落としと罰ゲーム

学校の遊び時間は低学年が中庭、高学年が屋外運動場と分かれていて、それぞれ遊びの種類異なっていた。

低学年の人気遊びの一つが「ハンカチ落し」である。

子供達は内側を向いて座り、一人ハンカチを持った子が鬼になる。鬼は円陣の外を走り、途中気付かれないようにハンカチを落とす、円陣の子はハンカチが落ちたかどうか手探りし、有れば直ちに鬼を追いかけるが、一周するまでに追いつかないときは、代わって鬼になる。追いついたときは再び鬼になる。鬼になって走り出す直後にハンカチを落とし、ハンカチは手で隠しているかのように見せ1周するのが早く交代するコツ。

 

人集め

子供たちは何処ででも人数に合わせて自由に遊びを選ぶことの出来る名人たちだ。遊具があれば好いが、無ければ無くても条件にぴったり合う遊びが出来る。数ある遊びの中から、今一番みんなが楽しめる遊びを考えた時「○○するものこの指にとまれ」と仲間を誘う。別の遊びを考えた子も同様に呼びかけをする。夫々の同意数により遊びが決まる。